コミュニケーションにおける責任

脳の情報を読む「読脳法」の開発者、伊東聖鎬は40年以上、様々な分野でセミナーや講演を行ってきました。
それは、一方的に知識や情報を伝えたり、ハウツーを教えたりというものではなく、相手の脳の情報を読んで答えるというコミュニケーションです。

2008年6月、
「一般対象セミナーの企画をする上で、これからの方向性を聞きたい」という質問がスタッフの栗原から出ました。
その質問をきっかけに、展開した話です。

 

一般対象セミナーの企画をする上で、これからの方向性を聞きたい

 

 

伊東
僕の脳には、カーナビと同じようなシステムがあって、今そのナビが働いて、君の質問に対してどのラインで答えるかを、検索しているんだよ。
その答えを出すのが僕は早い。
セミナーでも、受講者の質問に対して答えるのが早いのはそのせいです。
その答えも普通はこうだろうという答え方ではなく、さらに一歩先をいっているでしょう。
だから、相手が予測もしていないような答えが返ってくるから一瞬キョトンとしている場合が多いよね。

 

疑問を感じる女性
一歩以上先かもしれません。
だから予測できないのでしょう。でも、考えていくとそうだなと合点がいきます。

 

伊東

多くの場合、質問したことに対してすぐに(理解できるような)答えが返ってくるよね。
もっと奥にある答えを期待していても、分かりやすい答えしか返ってこない。
テレビのワイドショーを見ていても、ほとんどがそんな答え方しかしていないからつまらない。
(コメンテーターは)もっと深い答え方をしたいのだけど、聞いているほうが分からないだろうと、考えてそんな答え方をしているのかもしれないね。
僕は(講師の立場だから)そんな答え方をするわけにはいかない。
何日か、何週間か経って、ようやく相手が答えに気付くという、そんな応え方を心がけているのです。
それは相手に考えて欲しいからです

(受講者は)最初はわからないけど、回を重ねていく内、僕のやり方に気付くようになり、僕と話をする時には、そういう考え方の上で質問をしなければいけないのだと考えるようになるんです。
多くの人は、お互いに考えないですむような会話しかやっていない。
そんな意味のない会話ではなく、もっと意味のある会話をして欲しい。

僕は「自分のことを知ろう」と呼びかけ、その方法を指導している
実はそれはコミュニケーションの仕方を指導しているんです。
相手の言ったことに対して、自分が考えたり答えたりする。
その時の自分。
要するに人とコミュニケーションする上での自分というもののあり方や、自分とは何かということについての、自分の責任や義務というものについて知って欲しいのです。
人と関るということは、いろいろな責任が発生しますし、義務もあります

今、この場においてもそうです。
この場は、2,3日前に君(栗原)から「現時点でのこれからの計画を聞きたい」と言われ「それは必要だろうからそろそろやろうか」ということで設定した。
その上で僕は答えている。

相手が、どういう気持ちで、どういう立場で、どんな質問をしたのかによって、その応え方は違ってくる
それ以上のことを答えようとしても、相手がそれを必要としていなければできないんだよ。
しかし、そんな場合でも、この言葉の裏には、あるいは周辺には実はこういう意味もあるということも含めて、僕は話をする時があるんだよ。
そういうことを予想もしてなく、考えてもいないとすれば、それは責任がなさ過ぎると思う。
だから「あなたがその質問を口にするということは、そんな意味もあるということに責任を持ち、少しは反省して欲しい」というニュアンスで僕は答えているんだよ。

興味や関心があるから質問をするということもあるだろうけれど、その場合でも相手があることなのだから、相手にとって失礼がないようにその上で質問しなければならない。
自分がしようとしている質問は、相手が答える場合にどういう答え方になるのか、ただ煩わすだけなら、時間を無駄にさせてしまうだけ。
「そんなことなどを考えた上で質問をしているの?」と僕は相手に聞いているんだよ。
「そんなこと、考えていませんでした」と相手が言えば、「それだったら、今は時間もないしタイミングでもないから、また次の機会でいいんではないの?」と言って、僕は話を終わらせることもある。

そして次の機会があれば「この前話したことを踏まえて、質問をしているの?」と相手の質問の後に聞く。
そんなコミュニケーションを通して「人と関る時には、そういうことを考えていなくてはいけない」ということを、相手は知るようになるのです。

こんな話を、君(栗原)には何度もしてきているから、そういうことを当然に踏まえていると思っている。
だから、僕の方も準備して話そうと考える。
しかし、僕と始めて関る人達はそういうこととは知らないから、最初にルールを伝えることから始めなければならないのです。

 

【投稿者のヒトコト】

10年以上も前の話ですが、今の時代においても、とても大切なことなので掲載しました。
コミュニケーションとは、どれだけ相手のことを考え、相手の立場に立てるか、どれだけ相手を大切に思えるかということに尽きると思います。
コミュニケーションをするための努力は、自分を豊かにしてくれると思います。